情報化社会が進展してスマートフォンやタブレットなどの携帯情報端末が日常生活に不可欠なものになり、また電気自動車(EV)へのパラダイムシフトがグローバルに加速しています。これらには現在、液体の電解質を持つリチウムイオン電池などが利用されていますが、さらに安全性が高く、コンパクトで高性能な電池の開発が期待されています。私たちの研究グループが創り出した超イオン伝導体(固体電解質)は、固体中を高速でリチウムイオンが選択的に移動し、かつ低温から高温まで幅広い温度領域で動作する新しい材料です。また、この材料利用した電池は、液漏れもなく安全性や安定性にも優れ、重量あたりのエネルギー密度も高いため、全固体電池は未来のエネルギー貯蔵デバイスのキーテクノロジーです。
本共創コンソーシアムではこの革新的な全固体電池の共通基盤技術を非競争領域と位置づけ、多くの参画企業と共同で技術開発を進める所存です。また、全固体リチウム電池の製品化検討は競争領域と位置づけ、本学のオープンイノベーション機構と連携して各企業が個別に技術開発を進めることを期待しています。
全固体電池の研究開発を目指す大学、研究機関、あるいは企業の皆様はぜひ本共創コンソーシアムにご参加いただきたいと思います。皆様のご支援をよろしくお願いいたします。
菅野教授
Profile
- 1978年 大阪大学 理学部 化学科 卒業
- 1980年 大阪大学 理学研究科 博士前期課程 修了
- 1980年 三重大学 工学部 助手
- 1985年 理学博士(大阪大学)
- 1989年 神戸大学 理学部 助教授
- 2001年 東京工業大学 大学院総合理工学研究科 教授
- 2016年 同 物質理工学院教授
- 2018年 科学技術創成研究院 教授 全固体電池研究ユニットリーダー
- 2021年 科学技術創成研究院 特命教授 全固体電池研究センター長
受賞
- 2018年 第18回山﨑貞一賞
新規リチウムイオン伝導体の創成と全固体電池の開発 - 2019年 第52回 市村学術賞
超イオン伝導体創成と全固体電池開発 - 2021年 2021年度電気化学会学会賞(武井賞)
新しい電気化学材料の創製と蓄電デバイス開発